土木建設業に従事していますが、専門分野のことは少なくて、昭和のこと、故郷・徳島のこと、延岡のこと、雑多なことを自分の記録として日記代わりに書いています。St.3bの「がんサバイバー」でもあります。
 日々(いや、気のむくままに)読み書き
庭は通り抜け自由  地縁・血縁
2012-08-07-Tue  CATEGORY: 昭和の話
徳島の我が家の南隣りには見上げるような高い土塀があった。


 阿川さんという、造り酒屋の壁だ。土塀の中を見たかったけれど、二階からのぞいても内部は見えなかった。

 こんな風であった。↓  ↓
    阿川酒造


 西隣には二階建ての貸家があった。
 ↓の写真の奥がそうだ。(子供は、私・・)
 庭 昔


 下は土蔵みたいになっていた。明かり取りの小窓が少しあるだけで、中に入ると昼でも真っ暗闇に近かった。
 この土蔵の中に、かつては2家族が住んでいた。0さんの4人家族は、入り口から入って左側に位置していた。もう一人は、一人暮らしの青年で入り口の斜真向かいにあった。この青年からは幼い私は遊んでもらったらしいのだが、あまり記憶にはない。

 土蔵の上は、2軒長屋になっていて左側にMさん家族、右側には一人暮らしのKさんが暮らしていた。やがて、Mさんは町営住宅に引越して次はTさんの家族に替わった。

 その向こうには、中庭があり、離れみたいな家にOさんの家族が住んでいた。さらに、その向こう側に大家さんの家があり県道(一宇街道)に面して玄関があった。

 この貸家に住んでいた家族(9名~12名)は、全員、我が家の中庭を流れる排水溝の蓋を、かたん・かたんと鳴らしながら出入りしていた。

 昔は、よほどのことがない限り、個人の庭は通りぬけ自由だった。家の中庭を無断で通っても誰もとがめだてはしなかった。

 例えば、小さい頃の私が、母から「豆腐を買ってきて」と言いつけられたとする。

 私は「はーい」と、母からもらった数枚の十円硬貨を握りしめ、お皿を片手に、谷さんと香川さんの間の狭い路地を通り抜け、岡本さんの中庭を通り、さらに津司さんの中庭を通りぬけて町道に出て、東出商店(豆腐屋さん)に行く。帰りは、お皿に載せた豆腐を絶対に落とさないように、きた道をそのまま歩いて帰る。

 このように、当時の、個人の庭は、往来も兼ねていた。

 どこかに行くときも、曲がりくねった道を通らないまま、人様の庭を黙って自由に最短距離で歩いていけたのである。

 いわば、当時の個人の庭は「社会的共通資本」みたいなもので、それが「常識」であったのだ。


 当時は、家族・親族や地域のつながりが強く、地縁・血縁の中で助け合いながら生活していた。

 今は、それぞれの家庭が独立して暮らしていけるような生活様式に大きく変わった。各家庭、各個人が自由を求めた結果だ。

 この変化が、グローバリズムの始まりだったのだろう。

 今は、全体的に生活水準や情報量が向上し、第三者に依存しなくても「個」でも生きていけるような変化してきている。

 そして、さらに、世の中の制度や考え方すべてが、さらに「個」にシフトするように加速している。

 公共工事の入札制度でも「個」である「配置技術者」の評価が受注に大きく影響しているし、さらに評価の重みも高く設定されるように制度改革が計画されている。

 年金制度も世帯単位から個人単位に移行するような風潮がみえる。

「おひとり様」とか「個食」という言葉を耳にするようになってきたし「孤独死」という嫌な言葉も出ている。都会では、昔では考えられない「餓死」も出てきている。

「個」の時代。

 グローバル化の波のなかで、安定した仕事が失われ、閉塞感が漂い、県、市、企業、公務員、民間人、個人・・と全てにおいて格差が拡大し続けている。


 私が子供の頃も、お医者さんの子供や小売り店舗なとの裕福な家庭もあったし、貧富の差は今よりも歴然としていた。でも、なぜか「格差」などはあまり意識したことはなかったし、そもそも「格差」という言葉を耳にすることもなかった。、不平不満も少なかったと思う。多分「みんな同じだ」という感覚だったのだと思う。物質的なものは不足していたかもしれないが今よりも豊かに暮らしていたように思える。


 先の見えない、閉塞感が漂う今のような時代には、昔のような家族・親族や地域のつながりや、地縁・血縁の中での助け合いが必要と思われるが、求めても、得られないのだろうか。


 
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