土木建設業に従事していますが、専門分野のことは少なくて、昭和のこと、故郷・徳島のこと、延岡のこと、雑多なことを自分の記録として日記代わりに書いています。St.3bの「がんサバイバー」でもあります。
 日々(いや、気のむくままに)読み書き
経験~技術者
2013-07-28-Sun  CATEGORY: 建設


 発注機関から弊社が38年前に施工した河口部にある水門の資料はないだろうか、という問い合わせがきた。
なんでも、耐震の検討のため必要であるとか。南海トラフなどの対策なのかもしれない。

 当然のように、発注機関には設計図書も何も残ってない。当時の役所の担当者も工事のことは記憶にないので、お宅の会社なら、なんとかなるかもしれない、連絡させていただきました。という相談であり、依頼であった。

 39年前というと、入社して1年が経過したばかりで別の工事現場に行っていた。今の時点で、最古参に近い私も「そういう工事があったなあ」ぐらいしか覚えていない。

 会社の中を探しても、そんな資料などあるはずもない。
 多分、駄目だと思いながら、とりあえず「調べておきます」と返事しておいた。

 日常の仕事しながら、時々、その件について思いを巡らしていた。

「あ、そうだ。Hさんが居た。もし、先輩のHさんがその工事を担当していたら、資料が残っている可能性がある」

 で、三十年ぶりにHさんに連絡をとった。現在は独立して小さな建設業を営んでいられる。

 Hさんは、三歳上の私の先輩で、入社早々から退社されるまでお世話になった方だ。

 朴訥で、真面目で、度胸があって、思い切りがよくて、測量が得意で、重機の運転も上手で、とにかく頭がよくて、なんでも出来て、要するに仕事のできる方だった。

 私は、当時の大勢の先輩の中で実力ナンバーワンだと思っていた。あんなに、なれるわけないと思いつつ、Hさんみたいな技術者になりたいと思っていた。

 一緒に仕事をしたのは入社早々の道路改良工事の現場だけであった。泊まり込みだったので、ほぼ24時間、同じ時間を過ごすことになった。

 しかし、Hさんみたいになれたのは、あまり風呂に入らないこと、作業着のままで布団に入り、そのまま起きて顔も洗わず、誰よりも早く現場に行くことぐらいで、肝心なことは真似できなかった。

 

 Hさんは、その日の仕事が終わると、その日の記録をつけるのを日課としていた。現場の測量などは、日中の施工の邪魔にならないよう作業員が帰ったあとや休日などに集中的にやっていた。

 私には施工歩掛りの重要性を教えてくれた。どの工事に、何名の作業員、建設機械、材料などのデータを細かく調査して記録に残す、といった作業だ。

 Hさんは、発注者に提出する施工管理書類は必ず二部作成した。一部は提出用、残りの一部は自分のデータとして残すことをしていた。

 Hさんは、自分が担当した工事は、何もかもすべてデータにして残しててた。当時から「いつか独立し自分の会社立ち上げる」と決めていたのかもしれない。

 現場を経験するだけでは単なる思い出とか体験に過ぎないけれど、目的を持って記録しデータ化することにより、一つ一つの工事体験が経験として生きて来るのだと今にして思う。

 そのような方だったのでHさんが担当していたら、当時の記録が残っていると踏んだのである。

 調べてみると、幸いにも、主任技術者として、その現場を担当していたのはHさんであった。

 そして、事情を説明して「ありますか」と聞いた。

「歩掛りはあるが、図面や写真などは、この前、整理したとき捨てた。ネガフィルムも全部あったけれど、捨てたもんな」と云われた。

やはり、ついこの前までは、あったのだ。



 翌朝、Hさんから電話がかかってきた。
「あれから、探してみたら、少し、出てきた」と連絡があった。

「今から行きます」と会いにいった。

 貴重な資料を貸してもらった。簡単な図面を描いて、詳しく説明をされた。写真も肝心なところのモノが出てきた。


 すごい、と思った。

 さすがHさんだと思った。

 発注者に資料を見せたら、担当者から「すごいですね。プロジェクトXみたいですね。へえー、基礎は岩盤だったのですか。これは、助かります」と言われた。

 詳細はHさんに直接聞かれたらいいと思いますと、連絡先を渡して、発注機関をあとにした。

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