朝の天声人語で、はじめて知った言葉がある。
「私雨」
わたくしあめ と読む。
朝いちばんから、改めて浅学非才を自覚させられた言葉である。この頃何かと忘れっぽい私でも、この言葉だけは印象に残り続けるだろう。
Webの辞書で調べてみると「ある限られた地域だけに降るにわか雨。特に、下は晴れているのに山の上だけに降る雨」とある。
帰宅前の本社の空は青空なのに家に着いたら小雨模様というのは何回か経験している。あれも「私雨」というのだろう。
おもしろいなあと思う。
しかし、なんで今まで聞いたことがなかったのだろうとも思う。
いろいろ調べてみると「村雨」と「私雨」は同義語のようだ。
そういえば落語に「むらさめ」が出てくるのがあった。
茶店の婆さんに、この辺りにはいい地酒はあるかと聞くと
「いいのがあるだよ。じきさめ、にわさめ、むらさめとあるだ」
「変わった名めぇだな。何だいそのじきさめってのは」
「のんだはなから、じきににさめるからじきさめだ」
「それじゃ、にわさめは?」
「庭に出た途端にさめるんだ」
「むらさめは?」
「村外れまで行くうちにさめちまうだ」
まあ、少しでも保つ方がいいと
「むらさめ」を注文したが、
さかなが古いと文句を言いながらのんでみると、
えらく水っぽい。
「おい、婆さん、ひでえな。こいつ水で割ってあるんだろう」
「何を言ってるだ。そんだらもったいないことはしねえだ。水に酒を落としますだ」
ちなみに「わたくしあめ」をMicrosoftIMEで変換したら「わたくし飴」と出た。